しゅんやにあめをよろこぶ春夜喜雨
好雨知時節
当春乃発生
随風潜入夜
潤物細無声
野径雲倶黒
江船火独明
暁看紅湿処
花重錦官城
当春乃発生
随風潜入夜
潤物細無声
野径雲倶黒
江船火独明
暁看紅湿処
花重錦官城
詩
※日本で一般に読まれている本文によります。
書き下し文
好雨 時節を知り
春に当たりて乃ち発生す
風に随ひて潜かに夜に入り
物を潤して細やかにして声無し
野径 雲 倶に黒く
江船 火 独り明らかなり
暁に紅の湿ふ処を看れば
花は錦官城に重からん
現代語訳
よい雨は降るべき時を知っていて、春になるとちゃんと降りだす。風とともにひっそりと夜に降り、音もなく細やかに万物をうるおす。野の小道も雲もまっ暗で、川の舟の灯だけがぽつんと明るい。明け方、紅く濡れたあたりを見れば、成都の町には花が重たげに咲いているだろう。
原文と書き下し文の対照
好雨知時節 ― 好雨 時節を知り
当春乃発生 ― 春に当たりて乃ち発生す
随風潜入夜 ― 風に随ひて潜かに夜に入り
潤物細無声 ― 物を潤して細やかにして声無し
野径雲倶黒 ― 野径 雲 倶に黒く
江船火独明 ― 江船 火 独り明らかなり
暁看紅湿処 ― 暁に紅の湿ふ処を看れば
花重錦官城 ― 花は錦官城に重からん
鑑賞
「好雨時節を知る」と雨を人のように描き、静かな恵みへの喜びを歌います。晩年の杜甫には珍しい、穏やかで明るい一首です。
日本で親しまれる理由
「好雨時節を知る」
語句
- 発生
- (雨が)降り、万物を芽吹かせる
- 野径
- 野の小道
- 錦官城
- 成都の別名
作者
杜甫の生涯と作品一覧は作者ページへ。
作られた背景
上元二年(761年)春、成都の草堂での作とされる。