しゅんぼう春望
国破山河在
城春草木深
感時花濺涙
恨別鳥驚心
烽火連三月
家書抵万金
白頭掻更短
渾欲不勝簪
城春草木深
感時花濺涙
恨別鳥驚心
烽火連三月
家書抵万金
白頭掻更短
渾欲不勝簪
詩
※日本で一般に読まれている本文によります。
書き下し文
国破れて山河在り
城春にして草木深し
時に感じては花にも涙を濺ぎ
別れを恨んでは鳥にも心を驚かす
烽火 三月に連なり
家書 万金に抵る
白頭 掻けば更に短く
渾べて簪に勝へざらんと欲す
現代語訳
国は滅びても山や川は昔のまま。長安の街に春が来て、草木が深く茂っている。時世を思えば花を見ても涙がこぼれ、家族との別れがつらく、鳥の声にも心が騒ぐ。戦いののろしは三か月も続き、家族からの手紙は万金にも値する。白髪頭をかけば髪はいよいよ薄くなり、冠をとめるかんざしも挿せなくなりそうだ。
原文と書き下し文の対照
国破山河在 ― 国破れて山河在り
城春草木深 ― 城春にして草木深し
感時花濺涙 ― 時に感じては花にも涙を濺ぎ
恨別鳥驚心 ― 別れを恨んでは鳥にも心を驚かす
烽火連三月 ― 烽火 三月に連なり
家書抵万金 ― 家書 万金に抵る
白頭掻更短 ― 白頭 掻けば更に短く
渾欲不勝簪 ― 渾べて簪に勝へざらんと欲す
鑑賞
変わらぬ自然と荒れ果てた人の世との対比で始まる、杜甫の代表作。第三・四句の「花」「鳥」は、作者が涙し心を驚かすとも、花や鳥までが涙し驚くとも解されます。松尾芭蕉が『おくのほそ道』平泉で「国破れて山河あり、城春にして草青みたり」と引いたことで、日本でも特に親しまれています。
日本で親しまれる理由
「国破れて山河在り」。芭蕉『おくのほそ道』平泉の段で引用
語句
- 城
- 城壁に囲まれた都市。ここでは長安
- 烽火
- 戦乱を知らせるのろし
- 家書
- 家族からの手紙
- 簪
- 冠を髪にとめるかんざし
作者
杜甫の生涯と作品一覧は作者ページへ。
作られた背景
安史の乱のさなか、至徳二載(757年)春、反乱軍に占領された長安に軟禁されていた杜甫が詠んだ。