ホーム › 漢詩一覧 › 江南春

こうなんのはる江南春

杜牧|晩唐|七言絶句

千里鶯啼緑映紅
水村山郭酒旗風
南朝四百八十寺
多少楼台煙雨中
詩

※日本で一般に読まれている本文によります。

書き下し文

千里せんり 鶯うぐいす啼ないて緑みどり 紅くれないに映えいず

水村すいそん 山郭さんかく 酒旗しゅきの風かぜ

南朝なんちょう 四百八十寺しひゃくはっしんじ

多少たしょうの楼台ろうだい 煙雨えんうの中うち

現代語訳

見渡すかぎり千里にわたってうぐいすが鳴き、木々の緑が花の紅に照り映える。水辺の村にも山沿いの町にも、酒屋の旗が風になびく。南朝の時代に建てられた四百八十もの寺。その多くの楼閣が、煙る春雨の中に霞んでいる。

原文と書き下し文の対照

千里鶯啼緑映紅 ― 千里 鶯啼いて緑 紅に映ず
水村山郭酒旗風 ― 水村 山郭 酒旗の風
南朝四百八十寺 ― 南朝 四百八十寺
多少楼台煙雨中 ― 多少の楼台 煙雨の中

鑑賞

晴れやかな春景色から、雨に煙る古寺の風景へ。華やかさの中に、滅びた南朝への懐古がほのかに漂います。「十」を「しん」と読むのは平仄(音の調子)の都合という説が知られています。

日本で親しまれる理由

「南朝四百八十寺」。教科書定番

語句

山郭
山沿いの町
酒旗
酒屋の目印の旗
南朝
六朝時代の江南の王朝
多少
多くの

作者

杜牧の生涯と作品一覧は作者ページへ。

作られた背景

晩唐の杜牧が江南を旅したときの作とされる。

この詩から生まれた名前

あわせて読みたい