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むだい無題(相見時難別亦難)

李商隠|晩唐|七言律詩

相見時難別亦難
東風無力百花残
春蚕到死糸方尽
蝋炬成灰涙始乾
暁鏡但愁雲鬢改
夜吟応覚月光寒
蓬山此去無多路
青鳥殷勤為探看
詩

※日本で一般に読まれている本文によります。

書き下し文

相あい見みる時ときは難かたく別わかるるも亦また難かたし

東風とうふう 力ちから無なくして百花ひゃっか残そこなはる

春蚕しゅんさん 死しに到いたりて糸いと方まさに尽つき

蝋炬ろうきょ 灰はいと成なりて涙なみだ始はじめて乾かわく

暁鏡ぎょうきょう 但ただ愁うれふ雲鬢うんびんの改あらたまるを

夜吟やぎん 応まさに覚おぼゆべし月光げっこうの寒さむきを

蓬山ほうざん 此ここより去さること多おおくの路みち無なし

青鳥せいちょう 殷勤いんぎんに為ために探さぐり看みよ

現代語訳

会うことは難しく、別れることもまたつらい。春風は力なく、花々は散ってゆく。春の蚕は死ぬまで糸を吐き尽くし、ろうそくは灰になってはじめて涙が乾く。あの人は朝の鏡に、豊かな髪が変わっていくのを嘆いているだろう。夜に詩を口ずさめば、月の光の冷たさを感じているだろう。仙山の蓬萊はここからそう遠くない。青い鳥よ、どうか心をこめて様子を見てきておくれ。

原文と書き下し文の対照

相見時難別亦難 ― 相見る時は難く別るるも亦た難し
東風無力百花残 ― 東風 力無くして百花残はる
春蚕到死糸方尽 ― 春蚕 死に到りて糸方に尽き
蝋炬成灰涙始乾 ― 蝋炬 灰と成りて涙始めて乾く
暁鏡但愁雲鬢改 ― 暁鏡 但だ愁ふ雲鬢の改まるを
夜吟応覚月光寒 ― 夜吟 応に覚ゆべし月光の寒きを
蓬山此去無多路 ― 蓬山 此より去ること多くの路無し
青鳥殷勤為探看 ― 青鳥 殷勤に為に探り看よ

鑑賞

「春蚕死に到りて糸方に尽き」の「糸」は「思」と同音で、死ぬまで尽きない思いを表します。恋の詩とも、君主への思いの寓意とも読まれる、李商隠の代表作です。

日本で親しまれる理由

「春蚕死に到りて糸方に尽く」

語句

東風
春風
蝋炬
ろうそく
雲鬢
豊かな髪
蓬山
仙山・蓬萊山
青鳥
西王母の使いの鳥。便りを届ける

作者

李商隠の生涯と作品一覧は作者ページへ。

作られた背景

題をつけない「無題」詩は李商隠に多く、何を詠んだかは諸説ある。

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